第43回 人生における役割 〜清水明彦さんのお話を通して〜

 清水さんは西宮市にある「青葉園」を拠点に大変重い障害のある人たち(重症心身障害のある人たち)の地域における活動と生活支援を長年取り組まれています。
 清水さんは私どもの法人の設立準備当初の勉強会で講師としてお招きし、「青葉園」の理念、清水さん自身の大変重い障害のある人たちへの支援についての熱い思いなど、お話をお聞きしたことがあり、私ども法人にとっても繋がりのある方です。
 その後も清水さんとは何度かセミナーなどの場でシンポジストとしてご一緒したりしています。
 また、昨年開所した高槻地域生活総合支援センター「ぷれいすBe」での重症心身障害のある利用者支援についてご相談させていただくなど、大変お世話になっています。
 先日、大阪府重症心身障害児・者を支える会のセミナーがあり、久しぶりに清水さんの支援についての熱い思いを聞かせていただきましたが、高齢の母親と暮らしている重症心身障害のある娘さんがお母様の最期を看取られるときの支援のお話は特に印象に残るものでした。
 お母様は癌を患われて入院されていたのですが、お母様の最期に、娘さんの「最期を看取りたい」とのニーズを受け止めて、お母様の横に介護者用のベットを用意し、お母様は娘さんの頭を触られながら亡くなられたと言うお話でした。
 その後娘さんは、告別式の喪主という役割を果され、斎場での「お骨上げ」を職員からの支援により無事になされました。
 現在は、自宅で24時間の生活支援を受けながら、お仏壇をお守りしながら暮らされています。
 お母様と二人暮らしをしておられる娘さんが家族の中での役割として、お母様の最期を看取り、喪主として告別式を取り仕切り、お母様のご仏壇を守るということは、極めて普通の物語です。
 しかし、重症心身障害のある人たちが地域の中で自立生活をすることが非常に制度的にも困難な中で、本人をとことん中心に据えながら、本人の家族・社会の中での役割を支えるということ、清水さんの言葉をお借りすれば、「一人ひとりの物語を作る」という支援は、本当に「凄い!」の一言です。
 私自身、人が生きる上で「他者から期待される役割があること」の重要性については、障害のある人たちへの支援を通して気付かされてきました。
 しかし、今回の清水さんのお話をお聞きして、「普通に営まれる家族・社会関係の中で、それぞれに与えられている役割をとことん支えることが、真に本人中心の支援、本人の人生を支える支援」であることを再認識することができました。
 私たちは利用者支援の中で、日常的に「利用者中心の支援」を当然のこととして語っていますが、その真の意味を考え直す機会をまた清水さんの実践から学ばせていただけた意義のあるセミナーとなりました。

掲載日:2010年7月15日


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