第36回 障害者自立支援法と保護者の意識変化

 障害者自立支援法が施行されましたが、日中活動支援については、旧法(知的障害関係)の通所更生施設、通所授産施設、福祉工場という3事業体系から、就労移行支援、就労継続支援A型・B型、自立訓練、生活介護の5事業体系となりました。
 特に、旧法の通所更生・授産施設を利用されている利用者のニーズは、企業就労ニーズや福祉的就労ニーズ、就労以外の日中活動・過ごしの場としてのニーズなど、様々なニーズが混在している状況が続いていました。
 障害者自立支援法では、この様々な利用者ニーズが混在していた状況を、利用者それぞれのニーズに基づいて、5つの事業に体系化しました。
 この制度設計については、現在、様々な評価がなされていますが、私は、利用者のニーズを基本として、一定の支援サービスの整理がなされたことについて、評価をしています。
 また利用者支援に当たって、個別支援計画の作成が事業者に義務付けられた点も高く評価しています。
 当初より、私は、この制度改革によって、保護者の意識に変化をもたらすことの予測をしていました。
 それは、例えば、就学後の支援サービス選択に当たって、それぞれの保護者の方は、子どものニーズに基づいて、将来の子どもの人生を考えながら、支援サービスを選ばなければならない状況が生まれたことにあります。
 私たちは、人生の節目で様々な選択を経験してきていますが、現実的には障害があることで、その選択の幅が狭められているとはいえ、就学後の選択は大変重要です。
 しかし、旧法では、明らかに選択の幅が狭く、個別支援という視点が弱かったと思っています。
 そこでの保護者の選択は、「とりあえず通所施設へ通ってもらえればええわ」というような意識に陥らざるを得ない状況であったと思います。
 私ども法人では、今年度の4月に、「高槻地域生活総合支援センターぷれいすBe」という多機能型(就労移行支援、就労継続支援B型、自立訓練、生活介護)の通所施設を開設し、施設利用希望者対象の事業説明会を開催しましたが、そのときに保護者の方々の意識の変化を感じ取ることができました。
 私は、障害者自立支援法施行当初に予測していた保護者の意識変化が確実に起こっていることを感じ取ると同時に、これからも明確なニーズに基づいた支援サービスの利用が進んでいくことになると思っています。
 障害当事者、保護者の意識変化は、当然のこととして、事業者・支援者との関係の変化、事業者・支援者の意識改革をもたらすことに繋がっていきます。
 すなわち、事業者は、利用者への支援サービス提供に当たって、真剣に利用者個々人の真のニーズを読み取り、そのニーズ実現に向けての様々な支援サービスの活用方法を利用者・保護者に対して、提案しなければならなくなります。
 先ずプログラムありきという支援からの発想の転換、意識改革が求められ、利用者個々人のニーズを基本としたオーダーメイドのサービス提供という視点と実践が事業者・支援者に求められることになります。
 このように障害者自立支援法は、多くの様々な課題を抱えつつも、障害当事者、保護者、事業者・支援者の関係のあり方にも大きな影響を与えることになりました。
 同時に、私たち事業者・支援者、保護者に対して、大きな責任を与えられたことになります。
 それは、「障害のある人たち一人ひとりの真のニーズとは何か」について、障害のある人を中心に据えながら、真剣に向き合って議論し、地域の中でそれぞれのニーズに基づいた豊かな人生の実現を支援するという責任であります。
 最後に、時として、障害のある人たちの最も身近にいる保護者や支援者が、障害当事者に対する最大のバリアになるという現実を自戒しつつ、真のニーズと支援のあり方を考え、今回の一言を終えたいと思います。

掲載日:2009年5月7日


 もどる  閉じる