第34回 「働く」と「働き」

 「医療的ケアと自立を考えるシンポジウム」における社会福祉法人「訪問の家」理事長日浦美智江さんのお話を32回の「一言」でお話をしました。
 その中で、日浦さんは、重度重複障害のある人たちへの支援を通して、次のようなお話をされました。
 「私は、労働には二つのことがあると思います。それは『働く』と『働き』です。重度重複障害のある人たちはいわゆる生産活動である『働く』ことは困難であっても『働き』はできます。重度重複障害のある人たちは自らの存在を通して、私たちに様々な『働き』をしています」
 日浦さんは長年にわたる重度重複障害のある人たちとの暮らしの中で学んだこと、それは、重度重複障害のある人たちが生きるという人間としての根源的な活動を通して、彼らに関係する人々に「人間とは何か?」「どの様に生きるべきか?」など様々な問いかけを行い、影響を与えているということを「働き」という概念で、私たちに伝えて下さいました。
 私自身、ボランテア経験も含めて約40年間、障害のある人たちと関わってきたことになりますが、今まで私自身の存在を支えて下さった大きな支えの一つが彼らからの様々な私に対する「働き」であると、日浦さんの話を通して改めて気付かされました。
 私自身の人生を振り返ったとき、障害のある人たちからの日々の「働き」を頂きながら、自分自身の存在のあり方や生き方に気付きを与えられ、そこから学び、成長してきたのだとつくづく思います。
 これからも障害のある人たちからの「働き」を頂きながら、私の「働く」ことの意味を考え、「ともに生きる」というあり方を考え続けて行きたいと思っています。

掲載日:2009年2月26日


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